世界で活躍しているつまみ細工アーティストの方々に、つまみ細工について語っていただきます
海外のつまみ細工作家の4人目はイギリスからアーティスト、コーラ・フンさんです。彼女はつまみ細工の工房をかまえ、独自の芸術センスで国内外につまみ細工を販売されています。
プロフィール
2016 – つまみ細工を学び始める。英国シェフィールドのミレニアムギャラリーでクリスマスクラフトフェアに参加、最初のデモンストレーションとなる。友人と「Takara Crafts」という会社を立ち上げ、以来、世界中でつまみ細工を販売。
2017 – 地元のアーティストやクリエイターのギフトショップ「オールグッドスタッフ」で商品を販売。ミレニアムギャラリーのクラフトジャム#4でデモンストレーション。マンチェスターで「ドキ・ドキ」日本フェスティバルで出店、それ以降毎年参加。初のワークショップを開催。
2018 – 「Vyn Johns」という地元のウェディングドレスブティックでブライダルアレンジの受注販売開始。(ブライダル写真撮影にも参加)オープンスタジオシェフィールド2018イベントに出店。他の地元のアーティストと一緒にポップアップショップをオープン。
2019 – ヨークシャーコスプレコンベンションに初出店。着付けの勉強と練習を開始。
2020 – アートスタジオをオープン。YouTubeチャンネルを開始。
HP: takaracrafts.co.uk
Etsy: https://www.etsy.com/uk/shop/takaracrafts
Instagram: @takara.sheffield
FB/twitter: @takaracrafts
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCT5eH-CoFAhdsStbppjoQCA
Q1. つまみ細工を始めたきっかけは?(あるいは携わるきっかけになったことは?)
2016年のはじめ頃、私は大学の研究で色々とストレスを抱えていて精神的につらい時期を過ごしていましたが、リフレッシュの為、いろいろな工芸品について学んでいました。ある日、芸者さんの髪飾りを作っている人のブログ記事に出会い、ただただ素晴らしい作品に感動し、すぐに興味が湧き自分で作ってみたくなったのがきっかけです。その当時はつまみ細工について何の知識もありませんでしたので、すぐに調べ始めました。幸い日本語も理解できましたのでつまみ細工の情報もすぐに見つけることができ、その後YouTubeの動画やブログを読んだりして学びながら、自分のスキルを磨き上げてきました。
Q2. 作品へのこだわりや、大事にしているところは何ですか?
実際につまみ細工のレッスンを受けたことがないので、自分の作り方は正統ではないかもしれません。ですので日々学び、スキルを上げようと努力しています。
”こちらから見たら作品がどのように見えるだろうか”と、あらゆる角度で考える事が重要だと思っています。作り始めた当初は、作品を正面からしか捉えていませんでした。しかし、ある日仕上がったものをマネキンに着けてみると、横からの見栄えがよくないことに気が付いたのです。それ以来新しい髪飾りを作るたびに、どのように見えるかをあらゆる角度から常に確認しています。
また見た目だけでなく、使う人がどのように感じるかも考慮に入れて作っています。あまり重い作品にならない様に気をつけたり、作品の背面もきれいに仕上がるように心がけています。
Q3 あなたにとって、つまみ細工の魅力とは何ですか?
つまみ細工の作品の質感と複雑な構造に魅了されています。私はつまみ細工の特性を強調するために真っ白な作品を作ったこともあります。色の組み合わせや染色技術も面白いのですが、それよりもつまみ細工の形や構造により興味をもっています。おそらく、エンジニアとしての経験が影響しているのだと思います。
Q4. つまみ細工の今後の可能性についてどうお考えですか?
つまみ細工は昔から基本的に、着物の髪飾りとして利用されていました。その後、この工芸品は進化し、より多くのモチーフが生まれ、今ではさまざまな種類のアクセサリーを創作するために使用されています。これは、つまみ細工には汎用性があり、多くの可能性を持っている証です。最近、ますます抽象的なパターンや表現方法が登場しているので、将来的に更に成長していくと思います。つまみ細工のような抽象的に表現できるものは、ファッションやインテリアデザインなどより幅広い分野でも利用できるからです。
Q5.今後作ってみたい作品は?
特定のイメージはありませんが、私はとても精巧なものにチャレンジしたいと思っています。最近「人魚の王冠」という作品に取り組んでいます。長期に渡るプロジェクトで現在も制作中です。これが自身の更なる飛躍となることを願っています。
Q6.つまみ細工はあなたの国でどのような展開が期待できると思いますか?
現在イギリスに住んでいるのですが、イギリスでは昔から結婚式や競馬などの特別なイベントに特別な帽子を被る習慣があります。日本の成人式や結婚式の為の「つまみかんざし」とよく似ています。つまみ細工は、この帽子の伝統に取り入れられると思います。昨年、友人2人の結婚式でこのアイデアを試したのですが、非常に評判がよくつまみ細工に興味を持ってもらいました。この組み合わせはとても良いので、将来的にどんどん作っていきたいと思っています。