世界で活躍しているつまみ細工アーティストの方々に、つまみ細工について語っていただきます
第6回目は、伝統のつまみ細工を台湾で広める活動をされている劉雅婷さんです。
プロフィール
2001年 筑波大学留学 人文社会科学研究科院生として入学
2001~2003年 人文社会科学研究科修士学位取得
2004~2006年 米山奨学生として2年再留学
2006年 台湾帰国
2007年~現在 日本語講師
2017年 日本舞踊の稽古をし、着物着付けを習い始め、そのきっかけでつまみかんざしの制作も始める。
2019年3月「さくら金魚のつまみ細工とお細工物」岸記子(きしのりこ)先生の海外つまみ細工ワークショップに参加。(台北)
2019年8月 「さくら金魚のつまみ細工とお細工物」岸記子先生の海外つまみ細工ワークショップに参加。(台北)
2019年8月 岸記子先生の下で日本伝統の糊作り技法を学ぶ。宝塚教室でつまみ細工を短期研修。(日本 宝塚)
2020年1月 「さくら金魚のつまみ細工とお細工物」岸記子先生の海外つまみ細工ワークショップに参加。(台中)
2020年1月~今 「救國團竹北学習センター」で台湾の人々につまみ細工を教えている。
日本人の美意識及び伝統つまみ細工の技法を積極に伝えようと努力している。
Q1. つまみ細工を始めたきっかけは?(あるいは携わるきっかけになったことは?)
元々は日本文化が大好きで、特に古典文化に(茶道や日本舞踊や着物の着付けなど)魅了されました。着付けをする時、着物に合わせる髪簪が私の目を引きました。「こんなに繊細且つ綺麗な飾り物があるなんて!」と驚きました。「いつか自分にも作れることができれば、いいなぁ。」と思いつつ過ごしていました。
ある日、ふとYOUTUBEでつまみ細工を作るチャネルを発見し、その日から、早速作り始めました。当時、生地の選択や技法の違いがよくわからないまま、ただひたすら作っていました。
幸いなことに、2019年3月に台湾で開催された、岸紀子先生の「さくら金魚のつまみ細工とお細工物」のワークショップに参加し、正式に伝統な糊作りの技法を習い始めました。斬新で調整しやすい作り方はかつて自己流で四苦八苦していた事も解決し、心に感動が溢れ、毎年夏休みに日本へつまみ細工の研修に行くことを心に決めました。そして、恩師 岸記子先生の下へ弟子入りすることになりました。
Q2. 作品へのこだわりや、大事にしているところは何ですか?
でんぷん糊の作法はエコで環境にやさしいので、このような伝統を大切に守っていきたいと思っています。つまみ細工の作家として経験はまだまだ浅いですが、できるだけ日本の先生から教わったものを台湾の方々に忠実に伝えていこうと思います。
Q3. あなたにとって、つまみ細工の魅力とは何ですか?
つまみ細工には基本となる丸つまみと剣つまみの二つ折り方だけですが、様々な形が生み出すことができて、とても魅力的です。
また四季や自然に合わせていろいろな風景の作品が作成されていて、これは日本人の美意識の表現だと思います。シンプルな二つの折り方だけですが、折って折って、折るうちに心も癒されます。癒し効果もあると思います。
Q4. つまみ細工の今後の可能性についてどうお考えですか?
和装だけの飾り物だけではなく、もっと幅広く使えるものとして制作されることを期待します。特に海外の方々にとっては、自分の国の文化にも合うものとして、受け入れることができれば、長く続くでしょう。異なる複数の素材を用いて現代の生活にも気楽に使えるようなデザインも可能なのではないでしょうか。
Q5. 今後作ってみたい作品は?
台湾の文化の要素も含まれた作品を作ってみたいと思います。例えば、毎年の5月に新竹で「客家桐花季(客家アブラギリ花祭り)」というお祭りがあります。「アブラギリ」の花は、客家文化の象徴です。お祭に合わてベリーダンサーに着けるアブラギリを作りました。また、台湾文化で固有の「纏花(糸で纏う花)」文化があります。それも日本のつまみ細工と組み合わせ、より良い作品を作ってみたいと思います。
将来台湾で日本の伝統を受け継ぎながら、台湾独自の新しいつまみ細工の花を咲かせることに邁進していきたいと思います。
Q6.つまみ細工はあなたの国でどのような展開が期待できると思いますか?
台湾にもつまみ細工を作っている人々がいますが、あくまで自己流で作っています。日本江戸時代から受け継いだ伝統を学ぶこともなく、伝統を継承したり、交流活動などもありません。台湾では伝統的なつまみ細工を習得した人材を育成するのが肝心なことだとずっと思っています。将来台湾でもつまみ細工の協会を立ち上げることに努力しようと思っています。台湾と日本の架け橋になる協会が必要です。学んでほしい人々に作り方や経験を受け継ぐという推進・普及教育は大事だと思います。老若男女に問わず、誰でも楽しめる手芸ということを知ってもらいたいです。つまみ細工をより多くの人に知ってもらいたいと強く願っています。