つまみ作家・職人の紹介 第23回 その2 服部正子さん

著名なつまみ作家の方々につまみ細工への思いを語っていただきます。

以前、ご紹介させていただいた作家のhitohiraこと、服部正子さんのつまみ細工で作った立体の龍の作品が完成し、公募展にて入選をされました。この素晴らしい作品を制作秘話と共に作品をご紹介させていただきます。

【作品への想い】

西洋では怪物のイメージではあるドラゴンですが、日本(アジア)では、龍は神様の使いとして龍神として神社で祀られる存在です。

私の持つ龍のイメージも、水の神様として、優しく美しく人々を見守り導くイメージでした。

つまみ細工を始めた頃から、いつか龍をつまみ細工で作ってみたいと思っていました。

2019年6月:龍作りは、アルミの針金で骨組みを作ることから始まりました。

次に、藍、桜、玉ねぎ、コーヒーなど、自然の材料を使って草木染めて、布を用意しました。

2019年10月:やっとつまみ細工を葺く作業にとりかかれました。

風になびくさまを表現するために、タテガミは細かくサイズや色うねり具合は変えました。龍の胴体の鱗は色が単調にならないよう、全部で10色「黄緑1色、薄紫1色、青色の濃淡8色」の布を、二重の丸つまみの組み合わせのバランスを見ながら葺きました。手足の先は、2ミリ前後の小さな丸つまみで、小さすぎてつまむのが難しく、足先の1cmを進めるのに何時間もかかるような気の遠くなる作業でした。 2021年5月ついに龍は完成しました。

さらに、龍を載せる土台を作りました。

地球を作るのに使った布は、染色家の水蓮花さんに頂いた布です。着物をほどいたアンティークの絹布と水蓮花さんの個性的な染めが相まって独特の色が生み出されます。 この独特の発色の布のおかげで、思い描いた通りの地球を自由に表現できました

空から地球を見守っている優しい龍を作ることで、この地球に生かされている人間への大きな愛を表現したかったのです。

2年半かかり龍は完成しました。

龍は、ただ自分が作りたくて作りました。自分に素直に生きることは、自分を大切にすることです。素直に今やりたいことをし、「作りたい」を楽しむことで人にも優しくなれ、明るく楽しくなれます。

世界中につまみ細工で繋がる和がどんどん広がり、「作る」喜びでたくさんの笑顔が溢れますように。

公募展・ 第75回 堺市展 【部門】立体造形(彫刻・工芸等) 入選 作品名「harmonious eternity 〜和の悠久〜」

(2021年11月)

素直に生きることで自分を大切にすることができ、その結果人にも幸せを与える。
この龍と作り手の服部さんは展示会でさぞかし多くの人に感動を与えたことでしょう。そして、今、これを読んでくださった皆様にも伝わると嬉しいです。

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