世界のつまみ細工アーティスト 第5回 エンジェル・ウェーバーさん

世界で活躍しているつまみ細工アーティストの方々に、つまみ細工について語っていただきます

海外のつまみ細工作家の5人目はカナダからのアーティスト、エンジェル・ウェーバーさんです。

プロフィール

• 2008 舞妓さんのかんざしの本を読んだきっかけで、つまみ細工を知る。
• 2010-2011 日本で仕事をし、生活しながらつまみかんざしの収集を始める。
• 2012 本格的につまみ細工の勉強を始める。
• 2015 米国からカナダに移住
• 2016 地元のクラフトショーでつまみ細工の販売を開始。同時にオンラインでの販売も開始する。
• 2017 カルガリーエキスポのホリデーマーケットでつまみ細工の展示をするために「クリエイティブ・サスカチュワン」から助成金を受ける。
• 2018~ 様々な文化イベントやコンベンションでボランティア活動を始め、歴史情報の紹介、デモンストレーション、日本のつまみ細工のコレクションを展示。
• 2019 –つまみ細工を専門とするファイバーアーティスト(繊維素材の作家)としてサスカチュワン工芸評議会の審査員となり、トロントのアニメノース(イベント)にてつまみ細工のワークショップを開催。同イベントのギャラリー「もみじ」で作品を展示。「クリエイティブ・サスカチュワン」から助成金を受ける。

Q1. つまみ細工を始めたきっかけは?(あるいは携わるきっかけになったことは?)

2008年頃、大学時代に舞妓さんの本を読んでからつまみ細工について学びはじめました。はじめは小さなつまみかんざしを趣味でつくっていましたが、日本で英会話の先生として1年働き、その後からつまみ細工を真剣に勉強し始めました。
日本に住んでいる間、何度か京都を訪れ、つまみかんざしのコレクションを始めました。このコレクションは、日本から帰国し本格的につまみ細工を習得するためのインスピレーションとして利用しました。

Q2. 作品へのこだわりや、大事にしているところは何ですか?

つまみ細工について話したり、創作活動をする際に大事にしていることは、2つあります。一つは作家としての私自身の視点を表現すること、もう一つはつまみ細工の歴史や伝統を継承するため文化的意識を持つことです。
今までは舞妓さんの髪飾りのような日本の伝統的な季節のモチーフを色々作ってきたのですが、最近は東洋と西洋の技術や素材を組み合わせて、思いがけない表現方法でつまみ細工のアクセサリーや装飾品を生み出し、日本と自国のミックスカルチャーを表現することを模索中です。
また、文化団体や展覧会、コンベンションでボランティア活動も行っているのですが、そこでつまみ細工の歴史やかんざしの季節のモチーフについて話したり、つまみ細工の基本を実演したり、日本のつまみ細工のコレクションを共有して、つまみ細工をより多くの人に知ってもらう活動もしています。

Q3 あなたにとって、つまみ細工の魅力とは何ですか?

私がつまみ細工で一番好きなところは、その汎用性です。シンプルな布地の正方形から躍動感があり、かつ繊細で複雑な芸術作品を作成することができるからです。

Q4. つまみ細工の今後の可能性についてどうお考えですか?

ツマミ・ザイクが、その可能性を最大限に発揮し、大規模なツマミ・ザイクのインスタレーションアートを作ったり、世界中のオートクチュールのランウェイでツマミ・ザイクを付けて歩く姿を見たいと思います。

Q5.今後作ってみたい作品は?

現在、「つまみ細工・調和」というタイトルの初の展覧会の企画に取り組んでいます。40点ほどのつまみ細工のヘアピン、イヤーカフ、ティアラ、カチューシャや脱着式のヘアピン付きのつまみ画、着物のデザインとカナダ中西部をイメージしたペンダントランプを制作中です。

私は、コロナウイルスのパンデミックの始めにこのコレクションの制作を始めました。今世界では、ウイルスの蔓延を防ぐために人々が一致団結し、お互いの距離を保っています。それと同時に人種差別と暴力が横行し、それに対し多くの人が一緒になって抗議しています。

私はこの展覧会が和と洋の融合というテーマだけでなく、たとえ如何様に時代が変わろうとも、「人類の心とマインドは一つとなる」、という想いを込めた展覧会にしたいと考えています。この争いある状況下であったとしても、希望を持つことができる、これを私なりに表現する場として開催できたらと思います。

Q6.つまみ細工はあなたの国でどのような展開が期待できると思いますか?

つまみ細工はカナダではあまり知られていないので、私は、つまみ細工の楽しさを広めるために、アーティストと教育者の両方として、たくさんのイベントに参加していきたいと思います。このような活動を広げる前に日本で訓練し、教師の認定を取りたいと思っています。これは、つまみ細工のような伝統工芸に携わり、芸術を継承する上で重要なステップだと思います。

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