世界のつまみ細工アーティスト 第3回 キンガ・オウツァルスカさん

世界で活躍しているつまみ細工アーティストの方々に、つまみ細工について語っていただきます

海外のつまみ細工作家の3人目はポーランド人アーティスト、キンガ オウツァルスカさんです。彼女は着物を始めとする日本の芸術と文化に魅了され、独自の芸術センスで日本文化を広める活動をされています。

プロフィール

2008 – “Arleen on Deviantart” としてつまみかんざしの制作を始める
2009 – 着付けを習い始める
2010 – “Japanicon 2010”イベントにて浴衣の着付けと講演 (ポズナン)
2011 – アニまつりのイベントにてつまみ細工ワークショップ開催(ワルシャワ)
2012 – 「季節花」というテーマで毎月1点つまみかんざしを制作(現在進行中)
2013 – 「きものデジャック」ワルシャワ会議を設立
2013 – マンガ美術館での作品展やワークショップの開催(クラクフ), ポーランド, 2013 – 作品がガゼータ・ワイボルツァ新聞掲載
2013 – ワルシャワ日本大使館の情報文化部展示会「日本の永遠の花」にて作品紹介
2015 – ブランド名「Wisteria garden」で会社設立
2015 – ポーランドの「オタク」誌のインタビュー
2018 – ピルコンコンベンション(アニメイベント)にて作品出展(ポズナン)
2019 – 第13回日本文化交流イベントに出店 (ウッチ)

Facebook:  https://www.facebook.com/wisteriagardensstudio/Shop
Website:  https://en.wisteriagardens.eu/

Q1. つまみ細工を始めたきっかけは?(あるいは携わるきっかけになったことは?)

日本の大衆文化に興味を持ったことがそもそもの始まりで、着付けや職人の工芸品などの日本文化を通してつまみ細工に出会いました。京都の舞妓さんや若い女性の卒業式の髪飾りとしてのつまみ細工の精巧さに魅せられました。着物とつまみかんざしについてもっと知りたいと思い、自分で作ることでより深く理解するのではないかと考え作りはじめました。一つ、また一つとより良いものを作ろうと制作を続け、そのうちワークショップも始めるようになりました。

Q2. 作品へのこだわりや、大事にしているところは何ですか?

200年以上前から続く美しい伝統工芸の一つであるつまみ細工の伝統的なモチーフ、歴史を探求しつつ、姫糊や絹の素材を使用しています。 つまみ細工の伝統技法の普及に努めるべく起源について書いたり、知りうる限りの話をしています。そうするのは、正しい日本の伝統技術について知ってほしいからです。多くの人々は、リボンを使用した動画を見て、サテンリボンの作品をつまみ細工だと勘違いしているので、私は正しい知識を広めていきたいと思っています。200年の歴史ある工芸品を「サテンリボンの花」と呼ぶことは、日本文化におけるその歴史から逸脱していると思います。その起源を理解していないので、技術は乗っ取られ、別のものなってしまっていると感じています。長い歴史と美しい文化の中で、正統な気品ある工芸品として見てもらいたいと思います。

Q3 あなたにとって、つまみ細工の魅力とは何ですか?

つまみ細工は作り手の感性、テイスト、創造力がダイレクトに反映される工芸品の一つです。色や生地、サイズや形と、作り手は作品を通して個性を表現することができます。つまみ細工の技術の基本は非常にシンプルで、その技術を想像力の限界の限りあらゆるものを創作できるところに魅力を感じます。舞妓さんが身に着けている伝統的なものから本や映画を見て触発されたモダンな作品も作ることができます。また、生地だけでなく、糸、紙、その他の材料やテキスタイルも合わせられるので、日々新しいスキルを学ぶことができると思います。

Q4. つまみ細工の今後の可能性についてどうお考えですか?

つまみ細工と言えば伝統的な着物用のつまみかんざしが最も印象的なのですが、作品作りとしては、ブローチやヘアクリップのような小物アイテムが一番好きです。これらは、贅沢でカラフルではありませんが、人々がヘア小物やブローチ、イヤリングなどの日常的なアクセサリーとしてつけることができます。つまみ細工は、想像力によって無限に広がりを持てる工芸品の一つであり、現代のファッション界のステートメントジュエリーにとって代われる可能性もあると思います。

Q5.今後作ってみたい作品は?

日本文化の愛好家が親しみやすいつまみ細工の小物アクセサリーを作ることも好きなのですが、もっと伝統的な作品を作りたいと思っています。伝統的な作品は新しいあ発見や学びがあります。鎖国時代に舞妓さんが着けていた宝船のかんざしを是非作ってみたいです。
 また、つまみ細工を普及させる為に本を書き、間違った情報を払拭したいと思っています。
一番の望みは、日本で職人さんから直に学ぶことです。

Q6.つまみ細工はあなたの国でどのような展開が期待できると思いますか?

私はポピーやヤグルマギクのようなポーランドの花を作るのが大好きです。日本とポーランドの伝統をミックスするのはとても楽しいです! ただいまポーランドの文化に繋がる花や民族衣装に合うつまみ細工アクセサリーを使ったアクセサリーを作る「ポーランドの花」というプロジェクトを企画しています。
 
ポーランドの人々は日本文化が大好きなので、つまみ細工の歴史を含むワークショップや講演ももっとやりたいです。ポーランドで活動することで、日本の伝統工芸としての認知度を上げることに貢献できると思っています。

関連記事

  1. 世界のつまみ細工アーティスト 第7回 イスラ・ウォンさん
  2. 世界のつまみ細工アーティスト 第11回 マーシー・マックさん
  3. 世界のつまみ細工アーティスト 第13回 Aurore Fouge…
  4. 世界のつまみ細工アーティスト 第8回 サラ・チョウさん
  5. 世界のつまみ細工アーティスト 第12回 カーニャ・アドリエンさん…
  6. イタリア発信のつまみ細工月間!
  7. 世界のつまみ細工アーティスト 第1回 コーネリア・ジエーさん 
  8. 世界のつまみ細工アーティスト 第2回 ヴェロニカ・ピッコロさん

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP